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世界中の人々を魅了する古都・京都。そんな京都が大好きすぎて、京都のいちばんの理解者になろうと暴走した主人公が引き起こす大騒動を描くシニカルコメディが誕生した。
騒ぎの火種となるのは、本音と建前を使い分ける県民性。その技を器用に駆使する〈京都人〉と、〈ヨソさん〉の主人公の攻防が、面白おかしく展開する。だが、それは京都という迷宮への入口に過ぎない。〈ヨソさん〉も〈生粋の京都人〉さえも、京都を愛すれば愛するほど、奥の深すぎる不可思議なこの街にもてあそばれてゆく──。
主人公の澁澤まどかを演じるのは、『嗤う蟲』『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』の深川麻衣。まどかの義母である老舗扇子店の女将・澁澤環役には室井滋。また、まどかとコンビを組むマンガ家・安西莉子役に小野寺ずる、京都の老舗料亭の女将・竹田梓役に片岡礼子、まどかの夫で扇子店の長男・澁澤真理央役に大友律と、才能あふれる俳優が集結した。
さらに、まどかのコミックエッセイに一風変わった過剰なエールを送る大学教授・中村航役に若葉竜也、環の夫で老舗の“アホぼん”・澁澤達雄役に松尾貴史、京都で不動産業を営むちょっと怪しい男・上田太郎役に豊原功補と、最高峰の個性を誇る俳優たちが、濃密なセッションを繰り広げる。
監督は、『白鍵と黒鍵の間に』『南瓜とマヨネーズ』の冨永昌敬。完全オリジナルの企画・脚本は、『his』『そばかす』のアサダアツシ。
老舗扇子店とその住居は実際の京町家で撮影、おくどさん(※)やおばんざい(※※)など味わい深い昔ながらの暮らしや、風情のある街並みが楽しめる──けれど、物語の顛末を見届けたら最後、京都へ行くのが怖くなる!?
※おくどさん…京言葉でかまどのこと
※※おばんざい…昔から京都の一般家庭で作られてきた日常的なお惣菜

物語

キャスト

深川麻衣(澁澤まどか役)
1991年生まれ、静岡県出身。
初主演映画『パンとバスと2度目のハツコイ』(18)で第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。以後、『愛がなんだ』(19)、『水曜日が消えた』(20)、『今はちょっと、ついてないだけ』(22)、 『パレード』(24)などに出演する他、『おもいで写眞』(21)、『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(23)、『嗤う蟲』(25)で主演を務める。
その他、ドラマ「アイのない恋人たち」(24/ABC)、「特捜9」シリーズ(22~/EX)や、舞台「他と信頼と」、朗読劇「HAROLD AND MAUDE」(共に24)などに出演し、活躍の場を広げている。
コメント
今回京都を舞台に、「本音」と「建前」に翻弄される女性、まどかを演じました。
強烈な個性を持つ登場人物の皆さんと、初めてご一緒できた冨永監督の、何が飛び出すか分からない玉手箱のような演出に心が踊る撮影の日々でした。
結末はハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、見る方によって感想が分かれると思いますが、奇想天外でじわじわとクセになるお話です。
何より京都の方にも楽しんでいただけたら嬉しいです。
小野寺ずる(安西莉子役)
1989年生まれ、宮城県出身。
舞台を中心に活動後、ドラマ「まだ結婚できない男」(19/KTV)、「いいね!光源氏くん」(20/NHK)などに出演し、映像でも活躍の場を広げる。
主な出演作に、『笑いのカイブツ』(24)、『サンセット・サンライズ』(25/方言指導も)、ドラマ「水平線のうた」(25/NHK・方言指導も)など。
「ZURULABO」で舞台(脚本・演出)・漫画・ポエムなどを発表し、現在、WEB「日刊SPA!」で4コマ漫画を連載中。本作の劇中漫画も担当している。
片岡礼子(竹田梓役)
1971年生まれ、愛媛県出身。
第6回PFFスカラシップ作品『二十才の微熱』(93)でデビュー。以来、個性派女優として映画を中心に活動し、主演作『ハッシュ!』(02)で、キネマ旬報賞主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。
主な出演作に、『愛がなんだ』『楽園』(共に19)、『空白』(21)、『バカ塗りの娘』(23)、『笑いのカイブツ』『マッチング』(共に24)、『嗤う蟲』(25)、ドラマ「モンスター」(24/KTV)、「外道の歌」(24/DMM TV)などがある。
大友律(澁澤真理央役)
1991年生まれ、東京都出身。
映画を中心に活動し、主な出演作に『すばらしき世界』(21)、『さかなのこ』『百花』『グッバイ・クルエル・ワールド』(すべて22)、『無情の世界「あなたと私の二人だけの世界」』『モダンかアナーキー』(共に23)、『若武者』『石とシャーデンフロイデ』(共に24)などがある。
冨永昌敬監督作品への出演は『南瓜とマヨネーズ』(17)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)、『白鍵と黒鍵の間に』(23)に続いて4作目となる。
若葉竜也(中村航役)
1989年生まれ、東京都出身。
16年、『葛城事件』で注目を集め、第8回 TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。24年、ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」(KTV)にて、第120回 ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞・最優秀助演男優賞、東京ドラマアウォード 2024 助演男優賞、第49回 エランドール賞 新人賞を受賞。主な出演作として、『愛がなんだ』(19)、『市子』(23)、『ぼくのお日さま』(24)、『嗤う蟲』(25)、主演作『街の上で』(21)、『ペナルティループ』(24)など。
冨永昌敬監督作品への出演は『南瓜とマヨネーズ』(17)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)に続いて3作目となる。
松尾貴史(澁澤達雄役)
1960年生まれ、兵庫県出身。
大阪芸術大学を卒業後、デビュー。以来、テレビ・ラジオはもとより、映画・舞台、イベント、エッセイ、イラスト、“折り顔”等、幅広い分野で活躍。21年の舞台「鷗外の怪談」にて第56回紀伊國屋演劇賞個人賞、第29回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞する。
近年の主な出演作に、『白鍵と黒鍵の間に』(23)、『サンセット・サンライズ』『敵』(共に25)、舞台「ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ」(18)、「桜の園」(23)、「ダブリンの鐘つきカビ人間」(24)など多数。
豊原功補(上田太郎役)
1965年生まれ、東京都出身。
82年のデビュー以降、映画、TVドラマ、舞台など数多くの作品で活躍し、『WiLd LIFe』(97)で映画初主演。『受験のシンデレラ』(08)でモナコ国際映画祭の最優秀主演男優賞を受賞する。
主な出演作に『さかなのこ』(22)、『福田村事件』『キリエのうた』(共に23)、『朽ちないサクラ』『若き見知らぬ者たち』(共に24)などがある。
17年には舞台「芝居噺『名人長二』」で企画・脚本・演出・主演を果たしたほか、『ソワレ』(20)でプロデュース業にも進出している。
室井滋(澁澤環役)
富山県出身。
81年、『風の歌を聴け』でデビュー。『居酒屋ゆうれい』(94)、『のど自慢』(99)、『OUT』(02)、『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』(09)などで多くの映画賞を受賞。
主な出演作として『大コメ騒動』(21)、『七人の秘書 THE MOVIE』(22)などがある他、公開待機作として、ナレーションを務めた『ハッピー☆エンド』(25)を控えている。
音楽や執筆も精力的に活動し、近著に絵本「タケシのせかい」、エッセイ「ゆうべのヒミツ」、他著書も多数。また、23年より高志の国文学館の館長を務めている。
コメント
京都の中の本物と偽物が区別がつき辛い時代に突入!
インバウンドで大盛り上がりの街なかで、ロケ中にも、京都のリアルな違和感を覚えました。
冨永監督のそれらを見逃さない視線がとても面白かったです。
――因みに、本当に偶然なのですが、劇中に登場する老舗扇子店は20年来大ファンのお店で、お中元の品々を買い続けております。
京都の御縁に呼ばれたみたいで、それも含めて驚きの連続でした。

スタッフ

冨永昌敬(監督)
1975年生まれ、愛媛県出身。
おもな映画作品は『亀虫』(03)、『パビリオン山椒魚』(06)、『コンナオトナノオンナノコ』(07)、『シャーリーの転落人生』(08)、『パンドラの匣』(09)、『乱暴と待機』(10)、『目を閉じてギラギラ』(11)、『ローリング』(15)、『南瓜とマヨネーズ』(17)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)。ドラマ作品には「ひとりキャンプで食って寝る」(19/TX)、「彼女のウラ世界」(21/FOD)、「僕の手を売ります」(23/FOD)などがある。 前作『白鍵と黒鍵の間に』(23)は、フランスのKinotayo映画祭コンペティションにて審査員賞を受賞した他、Japan Cuts(ニューヨーク)、台北金馬映画祭や香港国際映画祭などに正式出品され、海外でも高い注目を集めた。
コメント
『ぶぶ漬けどうどす』の公開のお知らせを嬉しく思います。
おととし紅葉まっさかりの京都で撮影した本作は、商家の嫁と姑を演じた深川麻衣さんと室井滋さんを中心とした愉快なホームドラマでありつつ、ひとくちに説明しにくいテーマを持った映画でもあります。
6月の公開に向けて、この映画の狙いを少しずつ紹介していきたいと思っています。
よろしくお願いします。
アサダアツシ(企画・脚本)
奈良県出身。
大学卒業と同時に放送作家になり、「ウゴウゴルーガ」(92/CX)でデビュー。以降、バラエティー、ドラマ、ドキュメンタリー、アニメなど様々な番組を手がける。
近年は脚本家として活躍し、担当した主な作品に、『裁判長、ここは懲役4年でどうすか』(10)、『ペンギン夫婦の作りかた』(12)、『his』(20)、第45回ヨコハマ映画祭で脚本賞を受賞した『そばかす』(22)、「マジで航海してます。S1&S2」(17・18/MBS)、「カフカの東京絶望日記」(19/MBS)」、「チェイサーゲームW&W2」(24/TX)がある。
コメント
企画立案から公開まで7年かかりましたがようやく皆さまにご覧いただけることになりとても嬉しいです。
これは京都を愛してしまった澁澤まどかという女性の<ラブストーリー>です。
まどかは京都に認められたいと献身的に尽くしますが、相手は一筋縄ではいきません。
まどかは京都に振り回されて打ちのめされますが、それでもめげずに京都への愛を強めていきます。
まどかの思いは果たして京都に届くのか?奇想天外なストーリーと予測不可能な結末が待っています。
ぜひ劇場で見届けて下さい。
高良久美子(音楽)
東京芸術大学器楽科卒業後、吹奏楽、ミュージカル、スタジオワーク等の活動を始める。坂田明、小室等、大友良英、ホッピー神山、大貫妙子、UA、ヤドランカ、チェンミン(二胡)、などさまざまなジャンルのミュージシャンのレコーディングやコンサートに参加する他、「warehouse」「Bondage Fruit」「大友良英ONJO」「Orquesta Libre」「Orquesta Nudge! Nudge!」などのバンドで国内外のフェスティバルに出演。
また、フィルムワークス、無声映画に伴う生演奏、NHKドラマ、映画音楽の録音や、文学座、三谷幸喜演出の舞台作品の音楽制作も手がけている。オペラシアター「こんにゃく座」には、07年の“クラブ・マクベス”から参加している。
芳垣安洋(音楽)
1959年生まれ、兵庫県出身。
関西学院大学在学中から関西のジャズ界でプロとしてのキャリアをスタートする。即興演奏や民族音楽に影響を受け、90年代に入ると「Sights」「Altered States」などのバンドで作品をリリース後「モダン・チョキチョキズ」に参加し上京。その後、「渋さ知らズ」「ROVO」などに参加する他、渋谷毅、山下洋輔、坂田明、菊地成孔、梅津和時、スガダイロー、ROLLY、柳原陽一郎、おおはた雄一、ハナレグミ、カルメン・マキ、友部正人、UA、多くの来日音楽家らと共演。 現在「大友良英ONJQ」「シシド・カフカEl Tempo」などに参加する他、ジャズグループ「Orquesta Libre 」、打楽器アンサンブル「Orquesta Nudge! Nudge!」等幾多のユニットを主宰している。
文学座などの演劇、TVや映画の音楽制作などの活動も行い、「あまちゃん」(13)「いだてん」(19/共にNHK)のテーマ曲や劇中曲の演奏を担当。